『共用施設の進化』 ― ジム・プール・ワークスペースが資産価値に与える影響

はじめに

「このマンション、ジムやプールがついているんです」――そんな言葉が特別だったのは、もう一昔前のこと。いまや都心の分譲・賃貸マンションでは、フィットネスルームやラウンジが標準化しつつあります。さらに最近では、ワークスペースや個室ブース、シェアサイクル、EV充電設備といった時代の変化に対応する施設も登場。
共用施設は、単なる“おまけ”から「資産価値を左右する重要な要素」へと進化しているのです。


1. 共用施設の歴史的変遷

昔ながらの共用施設

1980〜90年代の分譲マンションで一般的だった共用施設といえば、集会室や駐輪場、せいぜい来客用駐車場くらいでした。共用部は「最低限あれば良いもの」として扱われ、資産価値を左右する要素とは見なされていませんでした。

ホテルライク化の進展

2000年代に入ると、都心タワーマンションの開発が加速。港区・中央区・江東区などで大規模再開発が進み、ホテルのようなエントランスやラウンジを備えるマンションが次々に登場しました。この頃から「共用施設=ブランド力」の図式が定着し始め、投資家や居住者の評価ポイントに変わっていきます。


2. ジム・プールが象徴する「健康志向」

健康志向の高まり

フィットネスやプールは、かつては高級物件の象徴でした。しかし近年は健康意識の高まりやライフスタイルの多様化から、「生活必需インフラ」に近い存在に。特にコロナ禍を経て「自宅近接で安全に運動したい」というニーズが急増し、共用ジムやプールを備えたマンションの人気はさらに高まりました。

資産価値への影響

こうした施設は、実際の売買価格や賃料に上乗せ効果をもたらす傾向があります。特に海外駐在員や富裕層ファミリー層は「生活利便性込み」で物件を評価するため、共用施設の充実度は資産価値の安定要因になります。


3. ワークスペースの新常識化

リモートワーク時代の共用施設

2020年以降、在宅勤務が急速に普及しました。それに伴い、共用のワークラウンジや個室ブースを設けるマンションが急増。
「子どもがリビングにいると仕事に集中できない」「家の中にオフィス空間を作れない」という課題を解消する場として、共用ワークスペースはファミリー層から高く評価されています。

市場評価

賃貸需要でも「在宅勤務が快適にできる環境」は重要な判断材料となっており、共用ワークスペースを備えるマンションは入居スピードが早い傾向があります。将来の売却時にも「時代のニーズに応えた物件」として評価されやすく、資産価値の下支えとなります。


4. 共用施設と管理費のバランス

豪華さは資産価値に直結しない

注意すべきは、施設の豪華さと資産価値は必ずしも比例しないことです。

  • プールやスパなどは魅力的ですが、維持管理にコストがかかる

  • 使う住民が限られる施設は「無駄な管理費」と捉えられるリスクもある

特に近年は「実際に使われるかどうか」が資産評価の重要な指標になりつつあります。ジムやワークスペースのように利用頻度が高い施設は資産価値を押し上げますが、利用率の低い贅沢施設は逆に敬遠されることも。

管理費・修繕積立金への影響

共用施設の多さは、毎月の管理費・修繕積立金に直結します。購入時は気にならなくても、将来的に修繕費用が増大し、資産価値にマイナス影響を及ぼすことがあります。施設の有無だけでなく、「運営の持続可能性」を見極めることが大切です。


5. 新時代の共用施設 ― サステナブル&テクノロジー

環境配慮型設備

近年注目されるのが、EV充電スタンドやシェアサイクルなど、環境配慮型の共用施設です。これらは「未来志向の設備」として若年層や国際的な投資家から評価されやすく、将来性のある資産としての魅力を高めています。

テクノロジーとの融合

顔認証やスマートロック、IoTによる共用設備予約システムなど、テクノロジーの導入も進んでいます。こうした仕組みは居住者の利便性を高めると同時に、物件のブランド力を強化し、他物件との差別化に直結しています。


まとめ

ジム・プール・ワークスペースといった共用施設は、もはや都心マンションにおける「プラスアルファ」ではありません。健康志向、リモートワーク、サステナビリティといった時代の要請を背景に、資産価値を左右する大きな要素に進化しています。

ただし重要なのは、施設の有無そのものではなく、利用ニーズとの適合性持続可能な運営体制。維持コストと住民の実際の利用度のバランスが取れてこそ、資産価値は中長期的に安定します。

共用施設の進化をどう見極めるかは、これからの不動産選びにおいて欠かせない視点です。投資家にとっても、実需で購入するファミリーにとっても、「施設の進化=資産価値の進化」と言っても過言ではないでしょう。

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